当院ではコロナワクチン接種を推奨しています。小中高生の方にも予防接種とコロナワクチンについて理解を深めていただきたいと考え、まとめました。
〜予防接種は防災訓練です!〜
みなさんは、学校などで防災訓練に参加した経験があるでしょう。災いに備えて日頃から防災訓練などの準備をしておくことは、とても大切ですね。
予防接種も実はこれと似ていて、感染症から身体を守るための免疫物質(武器)をあらかじめ作っておき、本当の病原体との戦いに備える、いわば「防災訓練」です。
この防災訓練を行うために身体に接種する薬を「ワクチン」と呼びます。
ヒトにとって命と健康が脅かされるような感染症に対して、これまでも多くのワクチンが作られてきました。
予防接種は完璧なものではありませんが、自然に感染するよりはるかに安全に免疫を作ることができ、高い安全性をもって世界中の人々を様々な感染症から守っています。
コロナワクチンも同じです。
〜コロナワクチンの良い効果〜
コロナワクチン接種を受けると、数週間かけて身体の中で抗体と呼ばれる免疫物質(武器)を作り、実際のコロナウイルス感染に備えることができます。そして、いざ本当にウイルスが身体に侵入したときには、その免疫がすぐに働き始め、感染を抑えたり、感染しても軽い症状で済むという効果を発揮します。
ワクチン接種の予防効果によって、まずは自分が感染するリスクを減らし、周りの人にうつしてしまう可能性も減ります。学校や習いごとなどに通いやすくなると思う方もいるでしょう。また、多くの方がワクチン接種を受けることで、ワクチン接種を受けられない小さな子どもたちや感染症が重くなりやすい人々を社会全体で守ることができます。
コロナワクチンは、接種を受けた10人のうち9人に感染予防効果があるといわれています。これはワクチンとしては優れた感染予防効果です。変異株に対しての効果はこれより低くなるものの、重症化予防には役立つといわれています。(ちなみにインフルエンザワクチンの発症予防効果は高くて60%で、毎年接種を受けても感染する方が少なくありません)
〜副反応〜
ワクチンには私たちにとって良い効果もあれば、不都合な効果もあります。ワクチン接種による不都合な作用を「副反応」と呼びます。
ワクチン接種を受けるとすぐに、身体の中では先に説明した「防災訓練」が始まります。このため、接種部位の痛みや腫れのほか、風邪のひき始めのような症状(発熱、全身のだるさ、頭痛、発疹等の全身反応)が出ることがあります。これら副反応は一時的で自然に回復することが圧倒的に多いため、ワクチン接種を受けて感染予防する方がはるかにメリットが大きいと言えます。
コロナワクチンでは、特に2回目の接種の後に副反応が起こりやすく、また若い方は高齢の方と比べて強く出る傾向があります。接種部位の痛みはほとんどの方に出ます。発熱に関しては、ある統計によれば、37.5℃以上の発熱は20代で約50%、50代で約30%、70代で約10%に起こるという報告があります。これらの副反応は一時的な現象で、数日で回復する人が多いです。よく休んで回復を待ってください。症状が辛い時は、市販の解熱鎮痛剤(アセトアミノフェンやイブプロフェンなど)を飲んでください。数日経っても症状が良くならない場合には、当院に受診してください。
非常に稀な副反応として、海外では特に若い男性の心筋炎(心臓の筋肉に炎症が起こる病態)が報告されています。症状は、胸の痛みや息切れ、動悸(心臓がドキドキする)で、ほとんどの方が軽症で回復しているようです。
今後も国内外の副反応報告などに注意を向けながら接種を行っていきますが、現時点ではワクチン接種を受けて感染予防する方がはるかにメリットが大きいと考えられています。
〜完璧な予防接種はない〜
ワクチン接種を受けた後も、マスク手洗い、密を防ぐなどの基本的な感染対策は引き続き行ってください。ワクチンを受けても感染を抑えるだけの免疫が作られない方が少数いらっしゃるほか、変異株に対する感染予防効果の弱まりにも注意しなくてはなりません。
〜小中高生で接種を検討している方へ〜
まず大人家族が接種を受けましょう。お子さんへの接種を検討されている場合には、このページをご家庭で一緒に読み、よく話し合ってからご予約ください。お子さんの気持ちが接種に対して後ろ向きでは、接種後の体調管理が難しくなる可能性があります。
〜ワクチン接種が不安な方へ〜
予防接種は、実際に感染することなく安全に免疫を作ることができる科学技術です。コロナワクチンはこれまでにない新しいタイプのmRNAワクチンで、海外では日本より先に多くの方が接種を始め、重症化や死亡率を防ぐ効果が十分にあること、また安全性も確認されています。
この「新しいワクチン」に対してメディアやSNSでは、科学的根拠のない批判的な憶測が広まっているようです。人々を不安にさせるような情報が拡散しているため、ワクチン接種に不安な気持ちを持っている方も少なくないようです。ぜひきちんとした発信源からの情報を得て、このワクチンのことを考えてみてください。
色々調べたり考えたりしてもなお、不安な気持ちが拭えない場合には、少し待ちましょう。特に子どもに対するコロナワクチンに関しては、専門家の間でも意見は様々です。焦らずもう少し情報がそろうまで待つ、それも選択肢の一つだと考えています。
〜おすすめコロナワクチンサイト(この記事の参考にしたサイト)〜
厚労省コロナワクチンQ&A https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/
感染症専門の医師が複数で監修している「こびナビ」 https://covnavi.jp/
日本小児科学会 http://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=333