世界中で赤ちゃんのうつ伏せ寝が禁止されるようになってから、長時間のあお向け姿勢による頭の変形(斜頭)が問題となっています。
かるがも藤沢クリニックでは、首が座る月齢になっても左右非対称の姿勢で反りの強い赤ちゃんがいることに以前から懸念を持っていて、診療の合間に抱っこの方法などをお伝えしていました。
しかしながら片手間にお伝えするのではなく、やるからには継続性を持った支援をしたいという思いが強くなり、赤ちゃんの適切なハンドリング(抱き方や扱い方)や運動発達を促すコツをお伝えするための外来を始めました。
本当ならこのような外来は必要とされないことがベストですが、初診の方も来られていることから、赤ちゃんの向きぐせや頭の形を心配されている親御さんが多くいらっしゃるのだなと感じています。
かるがも藤沢クリニックの向きぐせ外来では、赤ちゃんが適切な姿勢と運動発達を獲得できるように様々な支援を行っています。
まず、あお向けの発達と反りのない姿勢を赤ちゃんに学んでもらうことがスタートです。
頭の形を治すためにタミータイムを持つようにと言われますが、赤ちゃんが心地よくなければ反りが強まって逆効果になってしまいます。繰り返しになりますが、まずはあお向け姿勢での発達を促すことが大切です。
当院では、生後3か月ごろまでに、左右どちらの手も舐められる、あお向けで真っ直ぐ上を見ることができる、赤ちゃんが見たい方向に左右どちらにも首を動かすことができる、といった発達段階を目指します。かなり反りが強いお子さんは、理学療法士の外来をお勧めすることもあります。
あお向けで快適に過ごせるようになってきたら、家族の手や足、身体の上でうつ伏せ時間を過ごします。短時間でも毎日やることが大切です。次第に赤ちゃんはうつ伏せに慣れていき、ここちよいタミータイム(うつ伏せ時間)を過ごすことができるようになります。
向きぐせによる頭の形のゆがみ(位置的頭蓋変形症)は、首が座る時期に最も目立ちます。かるがも藤沢クリニックでは、ハンドリングやタミータイムを実践しても重度の頭蓋変形が残る方には、ヘルメット治療を選択できるように準備を整えました。
実は向きぐせ外来を始めたころは、別名「ヘルメットいらない外来」と自らに課題を課し、ヘルメット治療が不要になることが外来のゴールポイントだったのです。
しかし患者さんを診察するにつれ、重度の頭蓋変形症のお子さんには早期に左右対称の姿勢を学んでもらいたいと考えを改めるようになり、この度ヘルメット治療をご紹介できるように準備しました。
ヘルメット治療は、これから十分に脳が成長する乳児期早期(生後3~6か月)に始めると効果的であるといわれています。治療期間は平均3〜4か月です。ヘルメット治療は自費診療になります。当院ではBerry社のベビーバンド3を採用しています。
かるがも藤沢クリニックの向きぐせ外来は、あえて「あたまの形外来」としていません。よって、初めての患者さんにヘルメット治療の話をすることはありません。見た目の頭の形に着目するだけでなく、 いま赤ちゃんのために何ができるのかをご家族と一緒に真剣に考えていきたいと思います。